弥生語り2019&報告
2019年3月17日 クラッセ川越にて 弥生語りが行われました。
片岡理事長ご挨拶
一部 語りの継承
講義 語りの継承 大島廣志
語り・・・
① ものいう亀(『全国昔話資料集成6 肥後昔話集』岩崎美術社) 菅野智子
② 嫁の草取り(『女の底力』一声社) 菅野智子
③ 松山鏡(『越後の民話』未来社 他) 須山優子
④ 山吹幻想(『ふるさと伝説 東京武蔵野挽歌』小学館 他) 須山優子
二部 種種の語り
① 狸のえりまき(『女むかし・君川みち子再話集』) 池上富士子
② 夢十夜 第一夜(夏目漱石作) 阿部さくら
③ ミョウガ宿(『読んであげたいおはなし(上)松谷みよ子の民話』ちくま文庫) 遠藤喜与子
④ 注文の多い料理店(宮沢賢治作) 清水三和子
⑤ 二百人の泥棒(『頭に柿の木』語り手たちの会発行) 芝匠子
⑥ きつねの桜かんざし(女むかし・君川みち子再話集』) 君川みち子
弥生語りに参加して 矢部みゆき(郡山市)
今回は、高校1年生(4月より2年生)の若き語り手・阿部さくらさんを東京デビューさせるべく(東京ではなく川越でしたが)、私が代表を務める会(おはなし「玉手箱」)の仲間と4人で参加しました。ラッキーなことに、第一部では「語りの継承について」大島廣志先生のご講演を聞くことができました。続いて、大島塾の菅野さんと須山さんが登場。自然な身体表現、ゆったりとリラックスさせながら、聞き手の心にありありと情景を見せてくれる語りは、「これぞ『語り手たちの会』の語り!」でした。
第二部のトップバッター・池上さんは、お人柄がにじみ出た温かい語りでした。次がいよいよさくらさんです。さくらさんは、NHK朗読コンクールで2度日本一に輝いたお嬢さん。中学3年の夏休みに「大人のための語りと朗読の会」で朗読を披露してもらいました。その際、私たちの語りを聞いて「次回は、語りたい」と、高校1年の昨夏、語りデビュー。弥生語りの演目も自ら選び、練習を重ねての出演です。私は自分が語るよりもドキドキし、手に汗握りました。3番・遠藤さんの、宿屋の主人がお金をもらい忘れた落ちの場面では、会場が笑いに包まれました。
4番・清水さんは、文学を語る際に透けて見えがちな文字を全く感じない自然な語り口。特に登場人物の台詞のテンポが抜群でした。5番・芝さんの、そして誰もいなくなった…シュールなストーリーは「頭に柿の木」に収録されています(見逃していました)。トリは君川さん。歌うような美しい語りに魅了されました。司会の井上さんの優しい気配りと途中の手遊びも素敵でした。
さて、肝心のさくらさんの語りですが、皆さまいかがだったでしょうか?育ての親としては、緊張した中でも、朗読で培った声は表情に富み、堂々とした東京(あ、川越)デビューだったと自負しております。
この日、さくらさんデビューとともに嬉しかったのは、地元の仲間と参加できたことです。優れた語り手になるには、優れた語りを聞くことが何より大事。そして、「語り手は『聞かせておきたい話』と『自分で語りたい話』の両方を持っているべきであり、聞き手が誰かによって、内容を決めることが大切である」との大島先生の講演は、これからの私たちの活動の軸になることでしょう。「私の」でなく「私たちの」軸ができることがありがたいです。
片岡先生はじめ、スタッフの皆さま、お世話になりました。また、参加させていただきます。
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